72人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
僕には、ここに来なければ到底出来なかったであろう生活。
『これが日常』
『これが当たり前』
『これが普通』
僕たち以外のちゃんとした人間は、そう言うんだろうか……
「……………………」
もしそうなのだとしたら。
………普通が一番難しく、幸せだ。
って、僕は言うんだろうな………………
――ブクブクブクッ…
もう一度お湯で遊ぼうと、水面をブクブクする。
………すると何の断りも無く、リューが突然風呂場に入ってきた。
リューは特に何の反応も見せずに、ただリューを見つめた僕を見ては
無言の無表情で僕の頭をペシッとはたいてきた。
あ いてっ………………
僕は直ぐに目線を上げ、もう一度リューを見つめてやろうとした………………………途中で
「………………あ」
――クラッ
視界が歪んで見えてる事に、気が付いた。
これが俗にいう、『逆上せた』………………
へぇ……
これまた初めての体験に、ちょっとだけ心の中で驚いていると………………
「ばか」
無表情のリューに、そう言われた。
「………………」
………いつまでも風呂から出てこない僕を、
リューは何で気に掛け、こうしてここまで来たんだろう
………分からなかった。
他人の為にこんなことをしているリューが
僕の瞳には、とても不思議な人に映った。
最初のコメントを投稿しよう!