僕とリュー

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僕には理解できないリューの行動に、頭の中がこんがらがる。 天井のガラスの部分から見える星を、ジッと見ているリュー。 ………………何故だか知らないが。 この人は、やたらと僕を見ていることが多い。 何でそんなに見る?ってくらい、視線を感じる。 それの意図も、分からない。 「エーチ」 その声に顔を向ければ。星を見ていたはずのリューが僕を見ていた 「お前の寝床はここだ。」 そう言って、1つしかないベットのキッチン側の方に枕を置いてくれる。 「分かった」 僕がそう答えれば、 リューは反対側の入り口にある枕に頭を乗せ、無言で布団を被ってしまう。 ………………どんな寝方だよ、これ。 そもそも、なんでベットが1つしかないんだ? 「………………」 色んな疑問を持ちながらも、僕も電気を消してからベットに入った。 ……きっとこれがこの部屋の暮らし方であり、ルールなんだろう なら僕は、ここのルールに逆らうつもりはない。 郷に入っては郷に従え、だ 「………………」 「………………」 暗くなった部屋で目を閉じれば、昼間寝たにも関わらず眠気が襲ってきた。 ――チッチッチッチッ 時計の音が聞こえ、ここが大部屋ではないとハッキリ分かる ………………リューとの生活は、とんでもなく日常が溢れていた 分からない事も多かったし、初めての体験もした。 そこで実感したのは、 僕とリューの差だった。 僕らは二人とも、あの大部屋から来た。 なのに、あまりに違いすぎる。 この人は他人に優しいし この人はとても人間らしい…… 「……………………」 ――ギュッ 僕は『物』の存在を確認しながら、布団を手で強く握り締める。 なぜだか分からないけど とても、泣きたい気分だった。 「……っ………………」 驚くほどに。 僕とリューは、正反対だった。
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