僕がしたこと。

分からない事

――ｻﾞﾜｻﾞﾜｻﾞﾜ

外に出てまず、沢山の人が目に映った。

はじめて見る、普通の人間。

はじめて聞く。沢山の話し声

そして………………

「………寒い。」

はじめて感じる、『寒さ』。

僕は全開だったコートの前のボタンを、首元まで閉める。

吐いたらちょっとだけ白くなった自分の息を見ては、微かながらも驚いていた。

………知らなかった。

ここって、寒かったんだ。

ようやくこのコートを着た意味が分かった僕は、無言で僕を見てから歩き出したﾘｭーの後を追う。

はじめて体験する『外』があまりにも珍しくて、リンゴの事を忘れそうになりながらも辺りを見渡した

お店は基本、建物というより屋台みたいなので運営しているらしい。

床に布を敷いてその上で物を売ってたり、

占い師みたいな格好の人が、何もせずにただ座っている所もある。

………変な魚がぶら下がってたり、刀を並べている人がいたり………………

ちょっと遠くに森が見えるから、きっとそう大きな町ではない

それでも、意外とすれ違う人の数は多かった

「………………………」

………………僕にしては珍しく。

この町に対して、興味が沸いていた。

だって、本当に知らなかったから。

いつもはある程度あるはずの情報が、この町についてだけ僕の頭の中には無い

だからそれがちょっとだけ、楽しかった

……………………まぁ……

物凄い興味が沸いたり。

とんでもなく興奮したりなんてことは、ない。

………………………だって、ホントにただ少し興味が出ただけだから。

つまり………どうでもいいと言えば、どうでもいい。