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「………なんで…?」
口から出た自分の声は、思ったよりも小さい
訳が分からないリューの行動に戸惑っていて、上手く話せない
そっとリューの手に自分の手を添えながら、目で問い掛けた
なんで
こんなことをした?
僕は噛み付かれたって、1日もすればすぐに治る。
それはリューも同じなんだから、分かっているはずだ。
僕が手を添えたら優しく微笑んだリューは、もう一度僕の名を呼ぶ。
「…………エーチ……」
言うならば僕のせいで怪我したというのに、こんなにも優しいリューの笑顔も分からない
「………………………」
なんで?
なんで?
なんで?
「…………………なんで…」
……………大部屋での生活を生きていた僕に、リューの行動は不可解だった。
他人を助ける意味も
ここまで優しく笑える理由も。
「………………………」
分からない。
分からない。
リューの思考の、何もかもが分からない。
「……………………なんで……………」
分からない。
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