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――…………『とりあえず移動しろ』
僕が沢山の不可解な疑問によって頭を埋め尽くされていた時
そんな無愛想な声が聞こえた
……僕は言う通りに肩を押さえながら立ったリューと共に、移動をする
そして白い線を越えた途端にリューはまた倒れ込み、荒い息を吐いた。
なにもする気が起きない僕はただリューを見つめ、立ち尽くす
「……その」
「………………」
「白い線は、越えるな」
絞り出すようにそう言ったリューの声は、暖かな声ではなくなっている。
さっきまで優しかった目も、今では冷たく僕を捕らえていた
いつものようなふてぶてしい態度に戻ったリューは、倒れたまま目を閉じる
「………………」
「………………」
もしかして死んだんじゃないかと思った僕だったが、まだ血が出ている傷口を見て納得をする
どうやら、さっきの狼に毒を喰らっていたらしい
だから細胞の再生が遅れ、いつまでも血が流れているんだ
おまけに身体が麻痺してるみたいで…………それでも動こうとしてるのか、たまに手などが小さく動いていた
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