72人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
「………………」
僕は、どうやら本気で動けないらしいリューの腕を肩に回す
そして身長的にどうやってもリューを引き摺りながら、歩き出す
一応空気を読んで、やむなくリンゴを持ち帰るのは諦めた
…………リューを031号室に運んだ後、また取りに来れば良い
――ズルズル
リューを引き摺りながらも、分からない帰り道を歩いた
僕が生まれ、住んでいた場所は……とてつもなく大きな建物だったらしく
町のはずれのここからも、その建物は見えていた
だから僕は、そこを目指して歩く
そうすれば、きっといつかは辿り着けるはずだから
「………………」
「………………」
ぐったりしてるリューだが、ギリギリ意識はあるらしい
僕が間違った道に進もうとするたび、小さく“…違う”と言ってきた
「……………………」
……僕と同じく普通じゃないリューがこんなんになるほど、あの狼の毒は強力らしい
きっと人間だったら、噛み付かれたその瞬間に死んでる。
………………とゆうか
「………違ぇ」
「……………………」
…………なんでこの人は、僕を攻めない?
だってそもそも、僕が近付いてくる獣に気付けなかったのが悪い
あれくらいの気配、僕なら読めて当然じゃないか。
…………迂闊だったんだ。
平和なリューとの空間に馴染んでしまって、気が緩んでいた。
平和ボケしていた自分が、本当に不甲斐ない。
こんなん、完全に僕のせいのはずなんだ。
僕がミスをしたから、勝手とはいえ……結果リューが怪我をした
最初のコメントを投稿しよう!