その意味

3/6

72人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
「………………」 僕は、どうやら本気で動けないらしいリューの腕を肩に回す そして身長的にどうやってもリューを引き摺りながら、歩き出す 一応空気を読んで、やむなくリンゴを持ち帰るのは諦めた …………リューを031号室に運んだ後、また取りに来れば良い ――ズルズル リューを引き摺りながらも、分からない帰り道を歩いた 僕が生まれ、住んでいた場所は……とてつもなく大きな建物だったらしく 町のはずれのここからも、その建物は見えていた だから僕は、そこを目指して歩く そうすれば、きっといつかは辿り着けるはずだから 「………………」 「………………」 ぐったりしてるリューだが、ギリギリ意識はあるらしい 僕が間違った道に進もうとするたび、小さく“…違う”と言ってきた 「……………………」 ……僕と同じく普通じゃないリューがこんなんになるほど、あの狼の毒は強力らしい きっと人間だったら、噛み付かれたその瞬間に死んでる。 ………………とゆうか 「………違ぇ」 「……………………」 …………なんでこの人は、僕を攻めない? だってそもそも、僕が近付いてくる獣に気付けなかったのが悪い あれくらいの気配、僕なら読めて当然じゃないか。 …………迂闊だったんだ。 平和なリューとの空間に馴染んでしまって、気が緩んでいた。 平和ボケしていた自分が、本当に不甲斐ない。 こんなん、完全に僕のせいのはずなんだ。 僕がミスをしたから、勝手とはいえ……結果リューが怪我をした
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加