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本当に、バカじゃないのか?
自分を犠牲にして、大怪我して…………おまけに毒まで喰らって神経も麻痺して。
なのに感謝の言葉も謝罪の言葉もない僕を、不愉快そうに扱わない
………………ある意味こんな態度は大部屋の住人らしいのかもしれない。
こういう風に考えてる僕の方が、らしくないのかもしれない。
それでもリューが僕を守ったというあの事実は、大部屋ではあり得ないだろう。
僕らは誰かを守ったのも、守られた事も無いんだから
「………………っ……ちが……まっす…ぐ……」
左に曲がろうとした僕を止めるリューの声が、掠れている。
血を出しすぎたから、完全に治すには睡眠が必要なようだ。
………………というか、まだ血が止まっていない。
どんだけ強力な猛毒だったんだ
「……………………」
きっとあと少し歩き、体力を消耗したら…………リューは眠ってしまうだろう
ここで寝られたら、真っ直ぐ帰れるはずの帰り道を迷いながら帰ることになる。
そう思った僕はどこか休める場所で休憩しようと、辺りを見渡す。
意外と町の中心の方に来てたらしく、人や出店が沢山あった。
「あの……」
……僕は何か言いたげなリューの視線を感じたがめんどくさい為スルーし、適当にすれ違う人に話し掛けた
……………………が
「…………………………」
………………何故か皆睨み付けるように、足早に通り過ぎてしまう
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