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「……………………」
そこで周りを見渡し
初めて気が付いた
チラチラと突き刺さる鋭い視線も
コソコソと聞こえる、内容の良いものでは無い話し声も。
――……おい見ろ、アイツらが居るぞ
――怪我してるわよ、いい気味。
とてもじゃないけれど、聞いていて心地の良いものではない
聞こえる会話の全てが、僕達を否定していた。
僕はしばらく棒立ちした後に、ようやく現状を理解した
僕達は 嫌われている
…………もしかして
この冷たい視線は……初めて外に出て浮かれていたあの時から、ずっと僕達を捕らえていたのだろうか。
僕達の近くを避けるかのように行き交う、沢山の人。
嫌悪感の籠った、痛いくらいの目
「……………………」
なんだ
これ
――――ザワザワザワザワ
いろんな方向から聞こえている話し声に、耳が勝手に機能する
『汚い』
…………呟くように言ったその小さな声までも聞き取ってしまい、僕はただ立ち尽くしてしまった
「……………………」
外の世界って
こんなだったんだ
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