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嫌われている事に抵抗は無い。
好かれるよりずっとずっと楽だし、何よりどうでもいい
でも、驚いた。
自分の存在価値を叩き付けられたような感じがした。
―――ほら、あれ
―――うわ~ 血まみれ
血まみれと言いながらも“全く興味が無い”といった感じの若い男の会話が耳に入る
……そこで。ハッと気付いた
そういえばリンゴを売っていたあのおじいさんは、森で起きた僕らの一部始終を見ていたはずだ
なのに、何も反応を示さなかった。
今思えばあの態度は、ここにいる人たちと同じだ。
あのおじいさんも、僕達を嫌っていたんだ
「………………」
――ガシッ
色んな事を考えその場で停止していた僕は、
無言のリューが僕の右腕を掴んで歩き出した事で再び起動する
行きには気付かなかった周りの厳しい目を気にしながら、疲れているはずのリューの後を歩く
「………………」
「………………」
麻痺していた身体も意外と動けるようになってきたらしく、ずいぶんと早歩きだった。
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