色男登場

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「1378」 「2ボール」 「ほぉ…懐かしいことをやってるじゃないか?」 素子が部室に入ると大山と上田が背中合わせで床に座っていた 二人共、紙にいくつか数字を書き込んでいる 「素子さんもこれ知ってるの?」 「数字あてだろ?中学生の頃に流行っていたよ」 「流行りの遊びなんてどこも似たようなもんなんだな」 交互に宣言を繰り返しながら相手の四桁の数字を当てる、といったゲームを二人は行っていた 宣言した数字と場所が共にあっていればヒット 場所は違うがその数字が入っているならボール 自分の用意した『1234』に対して、相手が『7245』と宣言したら、その答えは『1ヒット1ボール』となる 「いくら受験が無いようなものとはいえ、勉学を疎かにするのはどうかと思うぞ」 神之矢学園は大学までエスカレーター式となっている もちろん、別な進路を選ぶのも生徒の自由だが、大半の生徒がそのまま神之矢大学へと進む 何も受験勉強が面倒というわけではない 自由ということが楽な道ではないことはこの学園の生徒ならば誰もが分かっていることだった それを踏まえて、皆、大学へと進む 「息抜きだよ息抜き」 「どうせ息抜きの方が長いんだろ?」 二人の動きが一瞬止まるが、すぐにゲームは再開された 「そういう素子さんはどうなのよ」 「私も息抜きだ」 素子は専用の椅子に座り、本を広げた 「毎日そんな本とにらめっこしてて疲れないのかね?」 「だから息抜きだと言ってるだろう。私の時間を邪魔しないでくれ」 「寂しい女だねぇ。男とデートの一つや二つしてこいってんだ」 「お互い様だろう」 上田は何も言い返すことが出来なくゲームに戻るしかなかった 気持ちを切り替え、次に宣言する数字を考えるために集中し始めた このゲーム、1ターンのミスが命取りになる
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