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このゲームに運の要素は1割程度しかない
上田が数字を宣言しようとしたその時、ドアがノックされた
「はいはい、開いてるよ」
ドアが開かれるとそこには男が一人立っていた
「おっじゃましま~す」
「お~、これはまた珍しい人が来たものだね。何か用?」
彼もまた、この学園ではちょっとした有名人だった
吉見 秀久(ヨシミ ヒデヒサ)と一時間、一緒にいるだけで彼の虜になる
こういう類の噂話は大げさに伝わるものだったりするのだが、実際に彼のファンは多い
その甘いマスクはもちろんのこと、女性に対しての姿勢が高評価となっている
校内アンケートの人気男子生徒ランキングでも常に上位に入っている強者だった
しかしその反面、一部からは『軽い男』と判断され、強い反感の目で見られている
「いやぁ、ちょっと通りかかったもんだからさ。顔を出してみたのよ」
「通りかかるったって…この階には何もないだろうよ」
心理研究部室のある地下の部屋はほとんど物置のようなものだった
通りかかるといった表現でまず来るような所ではない
「細かいことは気にするなって。それよりさ…」
吉見は一直線に素子の方へと向かう
「素子ちゃん、来週の日曜って暇かな?」
「特に予定はない」
「そうなんだ。じゃあデートしよっか?」
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