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吉見はこういう事をさらっと言える男だった
「いや、遠慮しておく」
「暇ならいいじゃ~ん。ね?一度くらいさぁ~?」
素子は助けを求めるようにちらっと大山の方に視線を移した
心配そうな表情の大山と目が合った
大山が気まずそうにゲームに戻るのを見て素子はため息をついた
「だいたい、なんで私なんかを誘う?お前の周りには可愛い女の子がたくさんいるだろう。」
「俺は素子ちゃんと遊びたいから誘ってるの。それに素子ちゃんだって十分に可愛いよ?」
素子がクスッと笑う
「私が可愛い?お世辞にも限度があるぞ?」
素子は本を閉じ、やっと吉見の方へと顔を向けた
「本当本当。俺ってさぁ、不便な身体でさぁ、嘘つけないんだよねぇ」
「嘘がつければ便利とも限らないぞ」
「素子ちゃんが言うと深みがあるねぇ。どう?今からでもじっくり語り合わない?」
「分かった分かった。デートのことは考えておくから今日は帰ってくれないか?この本をどうしても今日中に読み終えたいんだ」
手にした本を吉見の顔の前に出す
「そういうことなら退散します。邪魔して悪かったね。それじゃあまた!」
吉見はそのまま部屋を出ていった
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