甘い隠し味

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「遅くなりました~…ってあれ?皆は?」 「それぞれ用事があるらしい。一度ここに集まったがすぐに帰ったぞ」 「そっか…。素子さんは何してたの?」 「いつも通りの読書だ。うるさいのがいないから今日は落ち着いて読める」 「そっかぁ…」 大山はその場に座り込み、何をするわけでもなく、天井を見上げた しばらく沈黙が続く しかしそこに重苦しい空気は無かった 「で、勝負はどうだったんだ?」 沈黙を破ったのは素子だった 「何のこと?」 大山はとぼけて見せた 「上田から聞いたぞ」 「マジかよ…あのバカ…」 「なんだ、本当に勝負してたのか。じゃあ相手は吉見あたりか?」 「え?ひょっとしてカマかけた?」 「なんていうか…勝利の余韻に浸ってる雰囲気だったからな」 「えー、オレってそんなに態度に出る?」 「短い付き合いでもないだろ」 そして2人で笑う 再び訪れる沈黙 「ねぇ、素子さん」 今度は大山から口を開いた 「何だ?」 「今日何の日か知ってる?」 「バレンタインデーだろ」 「チョコあげたりしないの?」 「あげるように見えるか?」 「でーすーよーねー」 そしてまた沈黙 今度は少し空気が重くなる 何か話さなければと考えてしまう
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