宝物

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『…違う!! 間違ってるよ、綾!!』 笑顔が消えた。 あぁ、嫌われる。 やだ、やだ。 『本当に愛してるから、 ずっと一緒に生きたいんだろ? 本物の愛なら 簡単には無くならない! 消えない!』 「…最高のまま、 変わらないのが良いの。 確証が無いと不安で、不安で 壊れちゃいそうだからさ。 それが世間一般的な考えだろうけど… あたしが、 綾ちゃんが欲しいのは 愛が満タンに詰まった、 心。 切り取って、 ビンに蓋をして 毎日毎日毎日毎日 ずっと一緒。」 ビンを1つ取り出して、 大事に抱えて 寂しそうに微笑みながら 愛しそうに、撫でた。 あぁ、この狂気に 惑わされてしまいそう。 俺も、 愛して、 ほしい、よ。 「怖い? 大丈夫だよ。 綾ちゃんが居てあげる…」 …でも目が無いと、綾が見れない。 手が無いと、綾に触れられない。 口が無いと、綾に伝えれない。 足が無いと、綾とデートに行けない。 体が無いと、綾を守れない。 死んだら、ダメだ。 俺は生きて、綾と居たい。 共に生きたい。 綾を支えるから。 沢山の愛をあげるから。 全て、何でも受け入れるから。 お願い、一緒に生きよう? 『あや、あや… 愛してる。 …だけど死ねない。 俺は綾と生きて一緒に居たい。 望む形じゃなくて、ごめん。 でも沢山、愛をあげるから。 約束する! 絶対に変わらない。 綾が寂しがりなのも知ってる。 だから、その心臓たちにも 何も言わない。 俺なりにだけど、幸せにする。 …結婚しよう?』 嫌いになれないなんて。 俺もイカれてる? 綾はビンをしまって、 戸棚を閉めた。
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