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『…え?』
まだ綾はニコニコと笑っている。
「だからぁ~
あたしの為に死んで?
本当に愛してるなら
自分で死んで。
あたしだけなんでしょ?
いいよね?出来るよね?
ゆ、う、じ?」
『…』
驚き過ぎて声が出ない。
「…………。
なぁんてねっ!!
冗談だよ?」
ため息を吐いて、
冗談だと笑いなおした。
いや、目が笑っていない。
どうした、どうした?
おかしいと思いながらも
愛してない証拠だから
別れようって言われたら嫌だから。
『…綾も俺をきちんと愛してくれてる?』
「もちろんだよ!」
愛してるなら自分で死ねなんて
流石に本気じゃないだろう、と。
綾を愛してるのは本当だし…
綾を失うくらいなら
死んだ方がマシだし。
『…いいよ、分かった』
綾は、
子供みたいな、
無邪気で、
純粋な、
満面の笑みで、
「え?嬉しいな!」
鈍く光る目が
何故か似合う笑顔で
嬉しそうに
「じゃあ、はいコレ!」
…包丁を差し出してきた。
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