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午後6時ちょっと過ぎ。
待ち合わせ場所の公園の裏通りに行くと、既に悠が近くの木にもたれながら待っていた。
あたしは息を切らして、急いで悠への元へと向かう。
普段よりヒールが高いミュールのため、走りにくい。
「はぁ…─。ごめん、遅くなって」
それでもなんとかハァハァと咳き込みながらも、悠の元へとたどり着いた。
ビシッと紺のストライプの落ち着いた感じのスーツを着こなしている悠は、やはり様になっているらしく、チラチラと他の女性の視線が向けられる。
もちろん、隣にいるあたしにも眼差しが向けられている。
しかし、当の本人はタバコを吸い
「馬子にも衣装じゃん?」
などと悪態をつきながら、いつものように鼻で軽く笑っている。
……。
マンションでのアイツといい、目の前のコイツといい…。
「一応、あのアクアに行くんだからね。それ相応の格好をしなきゃ。」
少し呼吸も落ち着き、近くに止めていた悠の車へと向かい
「それにアクアもよく悠なんか採用してくれたよね?よほど人手不足なんだ」
あたしも負けじとばかりに笑いながら言い返してやる。
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