第2楽章

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あたしのそんな様子を見て、悠がまたクスクス笑っている。 「悪ぃけど俺、これでもナンバーに入ってるから。バイトなのにな」 ポケットから車の鍵を取り出し、運転席側の開ける。 そしてすぐに助手席側へとまわり、そっと丁寧にドアを開け 「どうぞ、梨亜姫様。カボチャの馬車ではありませんが…」 ニヤッと一笑し、軽くお辞儀をして、あたしに車に乗るようにと促す。 いつもの悠と違ってなんだか恥ずかしいというか照れてしまう。 「ありがとう。」 笑顔でそう告げ、ゆっくりとカボチャの馬車代わりの悠の愛車へと乗り込んだ。 あたしが座ったのを確認すると、ドアを閉め、悠も運転席へと乗り込む。 キーをさし、エンジンをかけ、アクセルを踏むと次第に車は加速していった。 「あ、俺の源氏名“ハルカ”だから。」 運転しながら、おもむろに悠が言った。 「悠…と言う字が“ハルカ”とも読むから?」 「正解。解りやすいっしょ?」 何故か自慢気に話し出すその様子がおかしくて 「単純で悠らしいわね。」 あたしはフフッと思わず笑いを溢した。 「酷くねぇ?頑張って先に潜入捜査してるっていうのに!」 「仕方ないじゃない。あたしはホストできないんだから。」 少し拗ね気味の悠を横目で笑いながら、他愛ない会話をして、つかの間を楽しむ。 これから『仕事』だというのに、こんなに呑気でいいのだろうか…。
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