第2楽章

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「そうそう。アクアのナンバーワンのレオさんって人が超カッコいいんだぜ?レオさん見てっと、ホストってスゲーって思…」 楽しそうにバイト先のアクアの話をする悠。 あたしも一緒になって笑いながら聞いていたが、『レオ』という単語に反応する。 レオ…? レオ。れお。玲音。 「…あぁー!あのムカつくホスト!?」 あたしは悠の話を遮って、突然大声をあげる。 眉間に皺を寄せて、先程マンションでの事を思い出した。 ただの何気ないお隣さんとのやり取り。 …で終わるハズだった。 しかし、あの最後の別れ際のあの仕打ち! 「そういやぁ、アイツもアクアで働いてるって言ってたわね」 突然あたしが大声をあげたので、隣で運転していた悠が驚いてあたしを凝視していた。 「…前見て、前。」 すかさずあたしは前を見て運転するように促す。 「なに、梨亜、レオさんと知り合い?」 今度はしっかりと前を向いて運転しながら、不思議そうにあたしに尋ねる。 「この前話した例のお隣のホスト。一ノ瀬玲音って言うらしいのよ」 『一ノ瀬玲音』という単語を言うだけで、何故か腹が立つ。
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