第2楽章

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一つ深呼吸をし、気を落ち着かせる。 「ごめんなさい。突然大声を出して。出先で一ノ……レオさんに会ったの。ムカつく別れ方をされてね」 あたしは足を組み、眉間に皺を寄せたまま目を瞑った。 「レオさんって、やっぱスゲーわ!」 「はぁ?」 あたしは当然、何があったか突っ込まれるのだろうと予想していたが、全く見当違いのことを言われ、思わずまぬけな声を出してしまった。 「お前ってさ、普段から自分の感情、滅多に表に出さねぇじゃん?なのに、レオさんに対しての怒りを露にしてんじゃん。」 何故か面白そうにあたしについて語りだす。 せっかくイライラが収まりかけていたというのに、また再びイライラが増してきた。 面白おかしくケラケラ笑うを横目にキッと睨み付け 「何が言いたいのよっ!」 と強めに言った。 「レオさんはスゲーってこと」 またケラケラ笑いながら、楽しげに笑う。 冗談じゃない。 急にキスしてくる奴のどこがすごいのよ!あたしが、一体アイツに何かしたわけ?
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