第2楽章

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「キスが下手とか…ムカつく!」 バンッ……──!!! 手にしていた仕事のファイルを下に叩きつけるように捨てた。 「なに、レオさんにキスされたのか?手早ぇな、レオさん。つーか、梨亜キス下手なんだ?」 面白おかしくケラケラと涙を流しながら大笑いをする。 ケラケラと笑い声が聴こえるたび、あたしの怒りは増加する。 「…安全運転を心がけて下さいね、ハ・ル・カさん?」 とびきり優しい笑みを口元に浮かべて、悠を見つめてやった。 「ハ…ハハ。」 乾いた笑いをし、辺りをキョロキョロさせながら 「打ち合わせしようぜ?なっ?」 逃げるが勝ち…ですか? まぁ、いつまでも怒っていたって仕方ないし、おとなげない。 それに悪いのは悠ではなく、一ノ瀬玲音。 「そうね。今回は“お遊び”でホストに行くわけじゃないものね。」 足を組み、窓を開けて景色を眺める。 日中とは違って、頬に当たる風が少し冷たい。 次第に眺めている景観も閑静な住宅街から明るいネオン街へと移り行く。
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