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「だんだん明るく派手になっていってるのにね。」
外を眺めたまま、静かに呟いた。
巻き髪が静かに不規則に風に靡く。
「所詮、儚い夢だからな。」
2人の間に、つかの間の沈黙が流れる。
キラキラ輝くネオンを見るたびに、何かがあたしの中で消えていくような気がする。
夜の街。
楽しいはずなのに、どこか寂しい感じがする街。
きっと、これが本当の世の中なのだと思う。
様々な欲望で溢れて溺れて。
夜の闇にのまれないために人々は明かりを求め、街をさ迷うのだろうか?。
全て、あたしの個人的な偏見でしかないけれど。
「…知ってると思うけど、『麻薬密売』らしいわよ。その詳細データ。」
ネオン街外れの寂れた公園に車を止める悠に、ファイルを手渡す。
周囲は、薄暗く気味が悪い。
これが本来の夜の闇なのだろうと思った。
「こっちが今まで調べてみてわかったこと。まだ確実とは言えねぇけど…。」
悠もあたしが渡したファイルを見ながら、自身の鞄から、ファイルを取り出し、あたしに手渡してくれた。
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