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「どっかからメスを入れれば切れるわよ。いかなる場合も『完全』なんてないの。人間は誰しも不完全なものなんだから…」
悠の内ポケットからジッポーを取り出し、火をつける。
揺らめく炎は不安定で、あたしの不安を増加させる。
あたしは再び溢しそうになるため息を飲み込み
「ねぇ。時間いいの?」
2本目のタバコを取り出した悠に、あたしは火をそっとつけてやる。
「同伴だろ?」
「あたし、今日は帰るわよ?」
車から降りる準備をしているあたしを見た悠が慌てふためき、覆い被さる。
「…何で悠なんかに押し倒されなきゃなんないのよ。」
押し倒されても、ドキドキするとか、そんな感情は微塵もない。どちらかというと、嫌悪感がする。
「お前が帰ろうとするからだ。」
「一ノ瀬さんがいるから。あたし、本名を名乗っちゃったのよ。住所も割れてるし…」
めんどくさいという表情をし、目の前の相手を睨む。
また、何か言い返しそうな悠を見て一つため息を吐き、右手で相手の頬を触り
「まぁ、一ノ瀬さんはなんとかするわ。約束通り同伴してあげる。その代わり…」
「その代わり…?」
あたしの右手をそっとずらして、軽く首を傾げ
「…わかった。俺からもレオさんには口止めしとく。」
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