76人が本棚に入れています
本棚に追加
/144ページ
おもいっきり、目の前の相手を睨み付け
「結構です。こちらの方に着いててもらうわ」
そうキッパリと言い切り、隣に立っていたホストの腕を掴む。
「えーと。お名前は?」
「十の夜と書いてトウヤです。よろしくお願いします、梨亜さん」
内ポケットから名刺を取りだし、手渡してくれた。
シンプルな名刺だが、どことなくいい匂いがする。
「でもしかし、意外ですね。レオさん自らヘルプを名乗り出るなんて」
トウヤと名乗った明るい茶髪のホストは、不思議そうにレオを見る。
「あぁ。こちらの方とは俺も知り合いでね」
不敵に微笑み、馴れ馴れしくあたしの肩に手をのせた。
あたしはより一層、ムスッとして、その手を軽く払いのけた。トウヤも目を見開き、驚いている。
どうやらお店にいる全員があたしへと注目しているらしい。
「…目立たない席に案内して下さる?」
あたしは項垂れて、トウヤとレオに伝えた。
「目立たない…ですか?」
トウヤが苦笑いをして、辺りをキョロキョロ見渡していると
「梨亜さん、こちらへ」
グイッと急に腕を掴まれ、
「きゃっ」
と小さく声をあげ、あたしは軽くよろめく。
最初のコメントを投稿しよう!