第三楽章

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おもいっきり、目の前の相手を睨み付け 「結構です。こちらの方に着いててもらうわ」 そうキッパリと言い切り、隣に立っていたホストの腕を掴む。 「えーと。お名前は?」 「十の夜と書いてトウヤです。よろしくお願いします、梨亜さん」 内ポケットから名刺を取りだし、手渡してくれた。 シンプルな名刺だが、どことなくいい匂いがする。 「でもしかし、意外ですね。レオさん自らヘルプを名乗り出るなんて」 トウヤと名乗った明るい茶髪のホストは、不思議そうにレオを見る。 「あぁ。こちらの方とは俺も知り合いでね」 不敵に微笑み、馴れ馴れしくあたしの肩に手をのせた。 あたしはより一層、ムスッとして、その手を軽く払いのけた。トウヤも目を見開き、驚いている。 どうやらお店にいる全員があたしへと注目しているらしい。 「…目立たない席に案内して下さる?」 あたしは項垂れて、トウヤとレオに伝えた。 「目立たない…ですか?」 トウヤが苦笑いをして、辺りをキョロキョロ見渡していると 「梨亜さん、こちらへ」 グイッと急に腕を掴まれ、 「きゃっ」 と小さく声をあげ、あたしは軽くよろめく。
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