第三楽章

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しかし、当の本人のレオさんは、あたしの言うことなんかお構い無しという感じだ。 寧ろ、「クククッ…」と小さく小刻みに肩を震わせて笑っている。 「すまないね。だがしかし、もう店では落ち着いて話し合いもできないだろう?」 すました顔で話を続けるレオさん。 「ハルカが来るまで、ご近所のよしみで俺が相手をしてやるよ。」 ご近所のよしみも何も、今日の夕方初めて会ったんじゃない。 そう思ったけど、代わりにあたしはめんどくさそうにため息を一つ。 「歩き?それともタクシー、車?…ナンバーワンホストさん?」 最後はたっぷり嫌味を込めて。 「あぁ。チャリ。」 「…はい?」 あたしは聞き間違いかと思い、再び問いただす。 「だから、チャリ。自転車。車のキー、今持ってねぇもん。だから出入口にあったチャリの鍵を拝借してきたんだよ」 そう言って、1人すたすたと裏口へと歩いていく。 あたしは、ハッと我に返り急いで後をついていく。 「持ってきなさいよ。車のキー」 「嫌だね。めんどくせぇ。」 束の間の沈黙。 暫し、あたしたちは睨み合う。
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