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「あたしたちに法律なんて、あっても無いような物じゃない。」
悠につられて、あたしもクスッと笑う。
「上手いこと言うね。梨亜ちゃんに座布団一枚。」
手をパチパチ叩き、軽く拍手をしながら、悠も一緒になって笑う。
「それと、悠はホストはバイト。本職は音大生…でしょ?」
再び悠を見つめ、吸っていたタバコを奪い、悠のジーパンのポケットに備え付けられていた携帯用灰皿に捨てた。
「一応…ね。」
一言、軽く付け足して。
「そろそろ本題に入ろうぜ、梨亜ちゃん。」
ニヤリと意味深な笑みを浮かべて、あたしを見つめる。
いつの間にか、親子連れで賑わっていた公園も気がつけば、2~3組の親子とあたしたちだけになっていた。
時折吹く風が心地よい。
先程までは、夏日のように暑かったのが、今では少し涼しくなってきた。
しかし、これからのあたしたちには、少し…いや、全然相応しくない。
「また『やる』の?」
大きなため息をつき、あたしの中を嫌悪感が支配する。仕事の話となると、なんとも言えないドロドロした物で、埋め尽くされた感じになる。
「なに、梨亜、欲求不満なの?」
再びタバコに火をつけ、一服し、悪戯な笑みと共に視線をこちらに向ける。
「そっちのヤるじゃなくて…バカッ!!」
おもいっきり悠の太ももを叩いてやる。
こんな昼中から、何を言い出したかと思えば、下らない方向に話を持っていこうとする相手を睨み付けた。
「痛っ…。冗談に決まってんだろーが。」
急に不意討ちを喰らった悠は、叩かれた箇所を擦りながら、足元に落としたらしいタバコの火を足で消し、携帯用灰皿に捨てていた。
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