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三神家。鷹丸(たかまる)に古より伝わる一族。
他の人々より、霊気が濃く強力であるがために異界の者、妖(アヤカシ)にその身を狙われてしまう一族。
彼等は一族存続のために妖と契約をしたという。自分の霊気を契約した妖にだけ与えるかわりに護衛をしてもらう…という契約を。
しかしその伝統はとうに廃れてしまい、正式な三神家は三神劉(ミカミリュウ)ただ一人のみになってしまった…。
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「…そんなわけで劉はこの神社に住んでいるんだ、鷹丸神社ほど安全なところはないからね。中々に強い霊脈が通る土地だし…土地神も無月様もいらっしゃる」
「…劉がそんなことを背負ってたなんて…、だから劉は…鷹丸から出られないんですね…」
俺、小鳥遊 瑛史は劉の伯父、和さんの話を聞いていた。
三神の血や劉の生い立ち、妖について…そして昨夜のことも。
俺も和さんも先日の嵐と落雷で、鬼岩山の社を心配していた。鬼岩には鷹丸の守り神のひとかた無月様を殺めた悪しき鬼が封印されていると言い伝えられており、社はその結界だったのだ。
それが落雷のため崩壊してしまった。社から漏れ出した濃い霊気が鷹丸中を満たし、俺や和さんはそれらの影響を受けて普段は見ることができない妖を見ることができた。
社の霊気が一気に放出されたことで鷹丸の地がもつ霊脈…それによる結界が不安定になり、百鬼夜行を呼び寄せてしまった可能性が高いそうだ。
…今まで妖のことをどこか御伽話だと思っていた。好奇心旺盛に劉に話を聞いていたのも俺が当事者ではないからだったのだ。
…本物の妖の恐ろしさに俺はなにもできなかった。
そして俺は彼らにとっての「霊気」という ものをナメていた。彼らにとってそれは妖力増強剤であると同時にご馳走なのだ。
結果、俺は鴉のような妖にあっさり捕まってしまい百鬼夜行の餌食になりかけたのだ。
運良く捕まった俺を和さんが見つけてくれたが、俺の記憶はそこで一度途切れている。
次の記憶はたくさんの妖に囲まれ襲われるところから始まり…、巫服をまとった劉がヒーローのように俺を助けてくれたところで再び途切れている。
俺も和さんも気づけば神社の境内で寝ていて、空はとうに明るんでいた。
そばには式神の依代となった和紙が落ちており、自分たちが劉に助けられたと理解したと同時に彼がまだ鬼岩山にいるのだとわかったのだ。
…血の気が引いた。
劉を助けたくとも妖相手では無力な俺たちがもう一度山に入るべきではない、それでもここで待つだけなんて…と策を練る俺たちの前に劉がけろっとした顔で帰って来たのが、つい1時間ほど前のことだ。
今は疲れたのか自室で寝ている。
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