学生ホールの懲りない面々

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あたしはしれーっと言った。水口は出席カードをまじまじと見つめた。 「しかし、お前よくそれだけ集めたな。」 「知らないよ、隣に座った子に話しかけられて「江草ですっ。」て自己紹介すると何か知らないけどみんな差し出すのよねえ。」 ホントは理由は分かっている。 この前、2号館の廊下で聞いた噂話では、あたしは中学の時からレディースで、どこぞの族の総長の単車のドールだったことになっている。 まあ、この前2食で聞いた小学生のころから保護司がついて、鑑別所と娑婆を行ったり来たり・・・、よりはマシだけど。 きっとカードをくれた子たちにとっては「みかじめ料」のつもりなのだろう。 「悪いけど、頼むわ。」 水口はあたしが代返するのがさぞ当たり前かのようにしれーっとした感じで言った。
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