ミューズ河は遠かった。

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あたしはというと先輩の1つ下の二回生で、高校の時から道場で修行を積んだ弐段だったりする。 高校の時は「木之内みどり」に似てる、と言われたこともある、そんな女子学生だ。 「ちょっと・・・待ってもらっていいですか、先輩。」   あたしは、さりげなく冷静さを装いながら、ボードの一辺をじっと見つめる。 敵は『第14機甲騎兵連隊』・・・4戦力。 こっちは虎の子の『SS第1装甲師団 親衛旗アドルフ・ヒトラー』と『SS第12装甲師団 ヒトラー・ユーゲント』の合計36戦力。 アタッカーオプションは攻撃側が自由に損害を決められる。 ここで2ステップを選べば次の第2移動フェイズで2個装甲師団を連合軍の後方に突破させることができる。 そう・・・出来るのだけど、攻撃側も同じ損害を受けなければならない。 まだ第1ターンだというのに主力の装甲師団にステップロスを強いるのはまさに断腸の痛み、泣いて馬禝を斬るがごとし・・・。 やや、待てよ、中央の第5装甲軍が綺麗に突破を果たせば、あの第14機甲騎兵も下がるかも・・・。 そう、先はまだ長い。 こんなところであたしの可愛いこの子達を傷物にするわけにはいかない。 それに、そうよ、まだ第1フェイズ。、 次の第2フェイズでは戦闘比は変わらないから、Delim(防御側全滅)も期待できるじゃないの。 そうよ、急いては事を仕損じる。 決めた。
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