黒ラベルに唄えば

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「あーっ、お桂、お帰りー・・・。」  あたしはお桂に抱きついた。お桂も一瞬びっくりした様な顔をしたが、嬉しそうな顔をしてあたしの抱擁を受けてくれた。 あたしは聞いた。 「でも、あんたさあ、星女の夏休みは今月末まででしょ?」  「んー、深雪ぃ。社会の事情かのう。」  酔っているのか、会話がアメリカとソ連の様に全くかみ合わない。  「それにしてもどうしたの?」  あたしは、荷物を置き、サマージャケットをハンガーにかけるとお桂に言った。  「んー、ほら、わあが部屋ぁ西向きじゃけん、西日が残りよってサウナちゅうか八幡ん溶鉱炉ん中ごつある。 ほんで深雪んとこは、よか風が入りよるけん、入って涼んどったんじゃ。」  お桂は言った。さすが親父さんが自衛官で転勤ばっかり繰り返しているせいか方言がめちゃくちゃに入り混じっている。 お桂は立ち上がると、あたしの部屋の冷蔵庫を開け、缶ビールを取り出した。  「深雪ぃ、サッポロの黒ラベルじゃけんど、飲まんね。」
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