27人が本棚に入れています
本棚に追加
診察に行けないまましばらくたった頃、母方の祖母が亡くなった。
両親共働きだったため、平日のほとんどを祖父母と過ごしていた。自他ともに認めるおばあちゃん子だった。祖父は私が中学生の時に亡くなっており、それからますます祖母に寂しい思いをさせまいと祖母宅に入り浸るようになっていた。
仕事を始めてから、というかセックスに依存し始めてから、周りに何か感づかれるのではないかと余り実家にも祖母宅にも帰っていなかった。
寂しいから顔をみせてと祖母から時々電話があったにもかかわらず、あまり帰らずに過ごしてしまった。
半年ぶりに見る祖母は、冷たくて動かなくて、大好きだった笑顔も浮かべてはくれなかった。しわくちゃの手を握っても、握りかえしてはくれなかった。
「ずっと調子悪かったんだけど、あんたに心配かけたくないって連絡させてくれなくてね。仕事頑張ってるんだろうって、入院中に看護婦さんを見ては嬉しそうにしてたよ」
母はそう言って頭を撫でてくれた。
その日はわんわん声を上げて泣いた。
悲しかったから、情けなかったから、寂しかったから、恥ずかしかったから、申し訳なかったから‥
いろんな思いをごちゃ混ぜにして、ただただ私は泣いていた。
最初のコメントを投稿しよう!