掴み

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生まれたのは関東某所 家は今で言うテラスハウスだった 昔で言う長屋ってやつかな とにかく貧しく、明日の米も無かった事もしばしば 姉が居るんだけど 遠足のお菓子が買えなくて、泣きじゃくる姉の姿が印象的だ 父は居なかった。 正確に言えば獄中だったようだ。 母はスナックでホステスをして僕達を養っていた。 たったこれだけの説明で家庭環境が手に取るようように分かるかな? そんなんだから愚れた。 僕は運良く高校に入学したものの即退学。 同時に先輩を保証人にアパートを借りた。 当時、バイトで貯めたお金が30万円くらい有ったかな。 一人暮らしを始めてから、バイトを点々とした。 どれも長続きせずに終わる。 「やべーな、、、 でもまだ金は残ってるし! ま、なんとかなるかっ」 すぐになんともならなくなった。 家賃も払えず、ライフラインはとっくに止められている。 窓を開けて手を伸ばすと隣のマンションに手が届きそうに密接している。 そのマンションの部屋の灯りで夜は過ごしたものだった。 マンションの住民が消灯すれば僕も寝た。 家賃滞納から半年位過ぎたころ、大家さんが段ボール箱をいくつか用意してくれた。 まぁガキながら意味は充分に理解できた。 段ボール箱使う程荷物は無かったから出るまでに10分もかからなかったかな。 「住むとこ探さなきゃ」 手頃な公園を発見! ホームレス社会人の始まりだった。
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