通学電車

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私は思わず俯いた。 ぶつかった時、強く香った。 もしかして、かいだことあるかも。 まったく知らないもののはずなのに、そんな気がした。 それから、そんなことを考えている自分に気が付き、少し恥ずかしくなった。 思い出せない…。 電車が停車し、空気が抜けるような音を立てて、扉が開く。 いつの間にか降りる駅に到着していた。 私は人と人のすき間を通り、扉に向かう。 ふと、男子学生と目が合った。 彼が軽く頭を下げたので、私も反射的に頭を下げる。 自分の鼓動が高鳴るのを感じた。
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