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「…本当に行っちゃうんだ」
「一週間前に言ったじゃん」
日は落ちかけ、辺りはすっかり薄暗い。
時折吹く風が、二人の間を冷たく通り抜けた。
間宮梢は、次々とトラックの荷台に運ばれる段ボールを見つめた。
引越しといったら、ほとんどが休日の昼間、明るい時にするものだから、少し珍しく感じる。
「そうなんだけど」
「でも、わざわざ誰かが来るなんて思わなかった」
梢の目の前にいる、少年、佐伯は表情一つ変えず言った。
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