不思議な香り

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ゆっくりと目を開き、男子学生は体を起こした。 「……ん?」 「あの…」 私が声をかけると、男子学生が目を向けた。 「あ、君、いつも隣にいます…よね?」 「…はい。あの「あっ!」 男子学生は突然、思い出したように立ち上がった。 それからゆっくり腰を下ろし、力無く言った。 「寝ちゃった…」 私は呆気に取られてしまった。 男子学生が、自分が思っていたより感情を表現する人であることに驚いてしまった。 「すみません…。俺がもたれたりしたから。遅刻しませんか?」 男子学生は申し訳なさそうに、私の顔を覗き込む。
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