不思議な香り

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しかし、すぐに笑顔になった。 「俺も二年。雪野…爽太です」 「あ、二年生なんだ」 顔を見合わせて、お互い笑う。 「同い年なのにめちゃくちゃ敬語だったね」 駅には人が少ない。 冷たい風が吹き、私は思わず肩をすくめた。 「あの、間宮さん」 雪野くんが自分のしていたマフラーを外し、私に差し出した。 「よかったらしてて。寒そうだ」 「でも、雪野くんが風邪引いちゃう」 「俺は平気。丈夫だから」 雪野くんはそれ以上私が何か言う前に、マフラーをゆっくり私に巻いた。
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