微かな過去

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何となく。 スケッチブックを貰ったことは、言いたくなかった。 自分だけが知っていることにしたくなった。 何考えてんのか…私。 「どんな奴だった?」 「うーん…。優しくて、話しやすい人だったよ」 柴田は私の言葉を聞き、落ち着きなさそうに視線を泳がせている。 「何よ、柴田。こずのことが気になるからって、そんなムキになんなくても」 亜樹が面白おかしそうに柴田の肩をこずいた。 柴田は一瞬赤面したが、またいつも通りの笑顔で亜樹の頭を軽く叩いた。 「ばーか。そんなんじゃないの。なぁ、間宮」
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