佐伯くん

3/6
59人が本棚に入れています
本棚に追加
/172ページ
佐伯は、梢が中学校に入学して二ヶ月程経った時に転入してきた。 「……よろしくお願いします」 目立つことが苦手なようで、口数も少ない。 態度もそっけない。 だからか、誰も近付かなかった。 「何か、目線が私達をケイベツしてる感じ」 女子の中ではそう言われたりもした。 梢も大して佐伯に興味がわいたりもしなかったので、話したりはしなかった。 ただ、美術の時間、絵を描いている時の佐伯はどことなく生き生きしているようで、隣の席だった梢は、美術の時間だけ話しかけるようにした。
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!