微かな過去

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「ん?」 「その、不思議な香りはわかったのか?」 「ああ…。絵の具だったみたい。かいだことある香りだとは思ってたけど」 「絵の具?美術部か何かか」 「美術…」 ふと、私の頭の隅で、微かな記憶がよぎった。 絵を描いていて、自分の隣には大人しそうな男の子が座っている。 中学生の頃? 時折、私がその男の子に話しかけるけど、あまり表情を変えず、絵を描くことに夢中になっている。 何だったっけ。 そんなこともあった気が…。 「男の子が絵か…。何か素敵」
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