微かな過去

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放課後。 帰宅ラッシュと重なり、朝と同様混み合った電車に乗っていた。 流れる景色は、いつもと変わらない。 雪野くん、帰りはこの電車じゃないのかな。 ヘッドフォンから洩れる、軽快な音楽。 大声で会話する女子高生。 大股を広げ、イビキをかきながら眠るスーツ姿の男性。 いつもと変わらず、居心地がいいわけでは無いけど、何となく億劫でない。 明日もまた、雪野くんと同じ電車で隣に並ぶのを楽しみに思っている自分がいた。 マフラー…返さなきゃ。 窓から、淡く夕陽が差して、電車の中を赤く染める。
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