微かな過去

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また、描いた絵見たいな。 電車が揺れ、体が傾く。 体勢を直した時、ふと学校での出来事を思い出した。 結局、微かによぎった記憶の人物は思い出せないままだった。 不思議な香りは、その時にかいだものであること位。 かいだことあるってことは…。 雪野くんを私は知ってる? 「…まさかね」 口の中で小さく呟いた。 電車を降り、家までの帰路を歩く。 自宅近くの公園まで来た時、また頭をよぎる。 顔も思い出せない。 けど、楽しかった気がする。 ひどく冷たい風が吹いた。 「あ…」 私は自らの右手を見た。 「…佐伯くん」
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