佐伯くん

4/6
59人が本棚に入れています
本棚に追加
/172ページ
その時の彼は、大きな変化は無いけれど、ごくごく普通の男の子のようだった。 「少し、仲良くなれたかなとか思ってたんだけど」 梢自身、美術の時間だけ話せる佐伯との時間が、楽しく感じるようになった時の出来事だった。 「まあ…。仕方ないよね」 一週間前、教卓の前で転校の話をしている佐伯を見て、ひどく悲しくなったのを覚えている。 「私、美術の時間に佐伯くんと話すの、すごく楽しかった。それがもう無いんだって思うと、悲しくなる…」 梢の言葉を聞いた佐伯は、少しだけ目を見開いた。
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!