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「……間宮さんって、不思議な人だよね」
「え?」
「美術の時間、いつも俺に話しかけてきたけど、何だか必死な感じがしたり。今だって、俺が引っ越すのを悲しくなるとか」
佐伯はそう言うと、寒そうに肩をすくめ、ポケットに手を突っ込んだ。
いつの間にか、辺りは真っ暗だった。
もうすぐで別れが訪れてしまう。
そう思うと、勝手に涙が溢れてきた。
「だって…。私、佐伯くんが好きだったのかもしれないんだもん」
必死に涙を拭いながら、梢は言った。
爽太は、目の前で泣いている梢を眺めながら、息を吐いた。
「…そっか」
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