††苦労性の彼は長男††

7/7
前へ
/21ページ
次へ
必死に言う彼に、どっかの誰かさんが重なる。 思わず吹き出して小さく笑うと、彼はキョトンとする。 「どうかしました?」 「いいや、別に・・・・・君ってさ、黒鋼より質が悪いね」 「えぇ!?」 「あー、大丈夫。君が想像しているような意味はないから。落ち着かないと落ち 「うわ!」 ・・・・遅かったか」 回転椅子から落ちた彼をカウンターから身を乗り出して、大丈夫?と尋ねると。 ひっくり返って尻餅をついた状態で、大丈夫ですと彼は苦笑交じりに応えた。 ホントつくづくドジッ子体質だよね。可哀想になってきた。 あ、そういえば・・・・・ 「ねぇ、君が買い出し担当だよね。じゃんけんで負けて」 「いててて・・・・・そ、そうですけど?」 「ふぅん、じゃぁさ、僕と一緒に行こうよ」 「へ?」 「作るんだったら食材選びたいし、それになんか心配だから」 頭の後ろを押さえながら彼は、またキョトンとした顔をする。 僕だってそこまで意地悪じゃないつもりなんだけど。多分。 ヒラヒラと手を顔の目の前で振れば、彼は慌てて首を横に振る。 「何で?」 「だ、だって、迷惑かけそうだし・・・・」 「うん、分かってる。けど、行きたいんだよねぇ・・・・悪戯の道具を買いたいから」 「司も言ってましたよ。それ」 「ね、いいでしょ?お詫びにマシュマロあげるからさ」 「マシュマロ」と聞いて途端に顔を輝かせて、彼は何度も頷いた。 ここは双子ちゃんも司君とも一緒。可愛いなぁ・・・・・・・ 嬉しそうに、またカフェオレを飲みだした彼に小さく笑みを零す。 さて、マシュマロの材料を買って作ってあげよ。 ドジッ子で苦労性彼にも、いい事がないと、ね       ~END~
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加