††苦労性の彼は長男††

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クリスマスが終わって喫茶店の前の並木道を鮮やかに照らしていたイルミネーションもなくなった。 目の前の道に降り積もった純白の絨毯を、蹴っ飛ばしながら小学生たちが遊んでいる。 僕にとっては夏の次に少々苦手な季節。 夏は暑すぎて堪らない。 そして、正月が近づく今日この頃。 毎年恒例で我が家でのカウントダウンパーティーをする事になった。 料理は主に僕が担当だ。 ていうか、それ以外に任せたらダークマターができるし、うん。 「さて、メニューは何にしようか・・・・・」 っと、それも大事だけどお菓子を用意しなければ。 じゃないと、司君に何をされるかわからない。 カウンターの中でそんな事を考えながら、ノートにメニューを書いていれば、ドアにつけられたベルがカラン、コロンと可愛らしい音を奏でた。 「あ、いらっしゃいま・・・・あぁ、隼人君か」 「えぇー、どうして残念そうな声なんですか。ってうわ!」 「・・・・ねぇ、君はどうしてドアの所で転ぶの?」 視線の先にいた隼人君は、お決まりって言ったら悲しいけどドアの段差で転んでいる。 カウンターを出てしゃがむと、彼の頭をツンツンと突いてみる。 すると「すみましぇん・・・・」 と何とも情けない表情をしていた。 隼人君はいい子なんだけど、不運体質というか貧乏くじを引きやすいというか・・・・・・・ とにかく、可哀想な子である。 「うん、まぁ、とにかく立ちなよ。カフェオレでも淹れてあげるからさ」 「ありがとうございます。本当にすみません、何時も何時も」 「ホントだね。少しは学習した方がいいよ」 「うぅ・・・・・」
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