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とある昼下がり、何時もの様に僕は自分の店で本を片手に読書にふける。
この時間帯、目の前の道を通る人間は少ない。よって、僕の休憩時間でもある。
それなのに、だ・・・・・・・・
チラリと、僕はあるボックス席に視線を向ける。
「おーい、コーヒーお代わり」
「あのね・・・・・・黒鋼。君何杯目だと思ってるの?」
「あ?まだ五杯目だろ?」
「僕、君がカフェイン中毒者だなんて知らなかったよ」
そこにいるのは、腐れ縁の幼馴染。
文句を言いながら、コーヒーを淹れつつチラリと黒鋼を見やる。
憎らしい、そう憎らしいほど容姿の整った彼に今日何度目かのため息をついた。
眉目秀麗な男が幼馴染で羨ましい?まさか、とんでもないっっっっっっ!
この幼馴染のせいで、学生時代はラブレターを渡すよう言われ、バレンタインにはチョコ山の処理、挙句の果てに代わりに告白してくれとまで頼まれる。そんな僕の身になってほしい。
「はい、コーヒー。ねぇ、さっきからパソコンで何してるの?」
「企画書、締め切り近いんだよ」
「ふうん、そう。あ、当店は全面禁煙ですから悪しからず」
「んだよ、ケチ」
「これマナーだよ。ニコチン中毒者の黒鋼君」
頭をがりがり掻きながら文句を言う隼人から、タバコを取り上げる。
昔から、ニコチンの臭いは苦手だ。こんなもの、よく吸えるね。
反対側に座りながら、テーブルに頬杖をついて眺める。
んでもって、腹いせにあいつの黒髪を引っ張ってやる。集中できねぇ、とか言ってくるけど聞こえない事にした。
いいじゃないか、見るくらい。減るもんでもあるまいし。
というか、寧ろ減ればいいと思う。
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