††シュークリームとお喋りと††

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自分の兄に憧れて、一生懸命になる姿は微笑ましい。 「? どうしたの?」 「ん?クリームが付いてて可愛いなぁってね」 「え?え?どこどこ!?」 「ほら、袖で拭かないの」 小さく笑って口元についたクリームを慌てて拭こうとする雪弥にハンカチを差し出す。 意地悪って言われたけど、雪弥だから許す事にした。 涙目で睨まれても怖くない。 「ゴメンな」 「薫さん、顔が笑ってる!」 「ゴメン、ゴメン。さてと、学校で何をしたのかな?今日も聞かせてくれる?」 「あ、うん!あのね、あのね!今日は、一杯お話するよ!」 不機嫌から一転。 両手を広げて、笑顔を浮かべて一杯と示す様に微笑む。 身振り手振りで話す表情はクルクルと変わって面白い。 学校で今日何があった。 友達と何をして遊んだか。 今日はこれを頑張った。 シュークリームを頬張りながら喋るから、ついつい頬を突っついて遊ぶ。 あー、こんな弟が欲しい。 今度頼んで、一日だけ貸してもらおうかな、などと戯けた事すら本気で考える。 だって、本気で可愛い…… 飽きずに雪弥の顔を見ていたが、時間というのは楽しいとやはり早く過ぎてしまう。 「あ、そろそろ帰らなきゃ。兄さんが心配するから」 「そうか………あ、じゃぁこれ」 椅子から飛び降りた雪弥の手に紙袋を載せる。 「オレンジマフィンとハーブティーのパック。君の大好きなお兄さんに差し入れといて」 「ありがとう!兄さん、きっと喜ぶよ!」 大切そうに紙袋を抱えて満面の笑みで答えるのに小さく頷く。 それから、外まで見送ればブンブンと手を振りながら遠ざかる姿を見送った。 さて、次は何をあげようか…… ~END~
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