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「ねぇ、薫さん。遊んでくださいよ」
「その前に聞くけど、何で君がここにいるのかな?」
「えー、だってお店にいたじゃないですか」
「僕の家でもあるからだよ。何で部屋まで着いてくるかな・・・・・・」
「薫さんの部屋ってキレイですね。始めてきました」
「聞いちゃいない・・・・」
あー、この猫は・・・・・・
頭痛がしてきそうな頭を押さえながら、眼鏡越しに彼を見やる。
フローリングに敷いたカーペットの上をゴロゴロ寝転がる姿は、まさしく猫そのもの。
デフォルトしても、猫だよ。きっと。
「ぶー!また仕事―?そんなのほっぽいて僕を構ってくださいよ」
「却下、締め切り近いの」
「ヤダ。定休日は僕と遊ぶ時間でしょ?薫さんの定休日は僕の時間」
「何、その理不尽。ガキ大将じゃあるまいし」
この理不尽なことを言ってくれる猫、もといい司はれっきとした高校生だ。
精神年齢が低いのかどうかは知らないが、会うたびにしきりに甘えてくる。
僕のどこがいいのやら・・・・・
「司くーん。重いんだけど」
「構ってくれないから、抱き着いてるだけですよー」
「重いし、パソコンできない」
「大丈夫、薫さんならできるって」
猫っ毛の栗色の髪が首筋をくすぐる。首をひねっていえば、ニッコリと音が付きそうなくらいの笑顔を浮かべてくるから、強く言えない。可愛いじゃないか、コラ。
だけど、如何せん彼は僕より頭二つ分身長が高い訳で。
ソファーの背凭れ越しに後ろから抱き着かれると、彼の体重が僕に思いっきりかかってくる。
あー、のしかかるな重い!!
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