††金平糖と猫††

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なんかアレだな、疲れたせいか耳と尻尾の幻覚が見える。 「図体ばかり大きくなったね・・・・・昔はもっと可愛げがあったのに」 「薫さん、さすがに酷いよ。それ」 「分かった、分かった。後で構い倒してやるから。今はノアにでも構ってもらえ」 「ホント?ホントにホント?!」 「はい、はい。ホントにホント。ほら、ノアの相手よろしく」 キラキラと翡翠の瞳を輝かせる彼に、近くに寝ていたアメリカンショートヘアのノアを差し出した。ノアがちょっと恨めしそうに見てきたけど、気のせいに しておこう。 猫と戯れる姿を横目で見ながら思う。今日は水曜日だ・・・・・・あれ? 「もしもし、司君。ちょっと聞くけど、君学校はどうしたのかな?」 「んー?もちろん、サボったよ。ねぇ、ノア君?」 「うん、まじめに行こうか。僕の責任で留年しましたとか、洒落にならないから」 「大丈夫、大丈夫♪」 何が大丈夫なんだか、パソコンに向かいながら本日五回目の溜息をついた。 彼と知り合ったきっかけは、彼の祖父がやっている道場に行くようになったからだ。 剣道をさせてもらえるから、ちょくちょく顔を出して相手をしているうちに懐かれた。 普段は飄々として、ツンツンとした態度の癖に。この猫の頭の中身を知りたい。 「薫さーん。暇でーす」 「ノアが相手してるでしょ。髪をツンツン引っ張らないの」 「暇すぎて死んじゃいそーでーす。ノア君もそう言ってますよ」 人の髪を引っ張るから振り向くといる、ノアを抱き楽しそうに笑っている大きな子供。 少し睨んでやれば、長いカーディガンの袖からでた指先で、また僕の髪を引っ張る。 「ノアは賢いから言わない。これあげるから、大人しくしてくれない?」 「あ、金平糖だ。いいのー?」 「金平糖でも口に入れたら静かになるからね。食べてていいよ」 ガラスの小瓶に入った色とりどりの星を眺める司に、また溜息を漏らしてから液晶に向き直る。よし、今のうちに・・・・・
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