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「…………ま、いっか…………………」
決して考えるのが面倒くさくなったとかそういうんじゃない。
紳士だからさ(意味不明)
とかなんとかしているうちに、地下鉄に到着したようだ。
春一は急ぎながらも乗り込み、なんとか一息つく。
ていうか昔の仲間に会って春一が誰だか解るのだろうか。
何人か絶対わかんないって。だって顔とか、ほら、変わってはないけど、雰囲気違うしなぁ。
その前に学園内はいれるのかなぁ。
確か生徒証か教職証、特別発行手形か、来賓証明証ないと警報なるんだよな。
一応去年のはズボンに入ってたけど、大丈夫なのかな。
「……にしても……今日はなんだ?」
と春一が思うのも無理はない話し。
小学生ぐらいの子を連れた親が、スタンプラリーの型紙を首から下げているのだ。
そんな組がアチコチに点在していた。
「スタンプラリー……か?そういや、やったような…………」
と、そこで、春一の足に思いっきりジュースがかかってきた。
「うわっ!!」
「あっ…………!」
どうやらこぼしたのは黒髪が特徴的な小さな少女。
兄、なのだろうか、なんだか平凡そうな少年と手を繋いでいた。
「す、すいません!ホントにすいません!ほら、葵も」
「う、うむぅ……、すまなかった!」
礼儀正しく頭を下げる少女に感心しながら、春一は優しく口を開く。
「あ、いや、別に大丈夫だから」
「ホントにすいません……、えっと、服を弁償……」
「あーいや、ホント大丈夫大丈夫」
謝る少年に軽く笑顔を見せると、まだすまなさそうにする女の子に向けて春一は口を開く。
「ほら、ジュース悪かったな。俺のズボンが飲んじまったからさ、これ」
150円。
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