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「それじゃ、行くよ……」
「いつでもこい!」
両鼻にティッシュを詰めたダイスケ。
「じゃあはい、三回回るよ~」
「いち……」
「に……」
「さん!はいストップ、みんな目を瞑って…」
願いを唱える、か…。
目を瞑って数秒もしない内に、真ん中の人形がカタカタと音を立てる。
目を瞑っているのでよく分からないが、動いているのは確実だろう。
『マユちゃんと付き合えますように…』
『え!?』
『宇宙人と交信できますように…』
なんだ、これ…。
もしかして、2人の願いが流れ込んできている!?
『お、俺の願いは…』
考える間もなく、目の前が真っ白に輝く。
床に足がつかず、浮いているような…。
そんな感覚が俺の体を襲った。
プツン!
「………!」
「………はっ!!」
恐る恐る目を開ける。
『墓』。
寺でよく見かけるような形をした、墓だ。
そして、手に握られた百合の花。
百合の花、か…。
墓に近付くにつれて霧は濃くなる。
そういえばアイツ、百合の花が好きだったな。
墓前に着くとより一層霧は濃くなり、墓の主が誰なのか判別することはできなかった。
「早く、終わらせよう…」
花を壇に置こうとした瞬間だった。
「あの…」
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